自然災害に備えられる法人保険5選|災害の種類や補償例も解説

企業を取り巻くリスクの一つに、自然災害による損害があります。

地震や台風のみならず、近年は豪雨による水災害などが頻発しており、企業が被る損失は計り知れません。

よって、損害に対する備えは万全にしたいものです。

このような事態に備えることができるのが、法人保険です。法人保険は、様々な自然災害に起因するリスクに対応することができます。

今回は、自然災害のリスクや保険金支払い事例、5つの保険を紹介しています。

ぜひ、参考にしていただければと思います。

目次

自然災害における企業のリスクと損害

自然災害には様々な種類があります。

法人保険で補償できるのは、財物や利益損失など、災害の種類や規模によっても違いがあります。

ここでは、自然災害の種類と想定されるリスク、損害例を解説します。

自然災害の種類

自然災害には主に、以下の種類があります。

台風・竜巻・雪災・風災・ひょう災・落雷・洪水・集中豪雨・地震・噴火

また、近年猛威を振るう新型コロナウイルスについては、自然災害ではないとされています。

自然災害による企業のリスク

自然災害による企業のリスクには、被る損害によって、様々な分類の考え方があります。

今回は、以下3種類に分類し、損害例を見ていきましょう。

財物損壊リスク・・・事業者の所有・使用または管理する財物が損害を受けるリスク

  • 地震により、事務所のある建物や什器が損壊した
  • 豪雨で倉庫に浸水し、商品が水浸しになった

利益損失リスク・・・事故によって保険の対象が損害を受け、営業が阻害または休止された場合になどに生じた利益損失

  • 地震によって工場勤務の従業員が出勤できず、製品を出荷できなくなった
  • 落雷で店舗が全焼し、営業できなくなった

休業損害リスク・・・店舗や事務所、作業所など損壊してしまい、長期休業となってしまうリスク

  • 台風によって工場の屋根が吹き飛び、復旧までの期間休業した
  • 大雪で店舗の屋根が壊れ、やむなく休業した

自然災害により被る損害

自然災害に起因し、被る損害には、以下のものがあります。

火災・落雷落雷による機器の損壊
落雷による店舗の全焼など
風災・ひょう災・雪災台風や竜巻などによる建物の損害
台風による工場の損壊で製品の生産ストップ
大雪による屋根の損壊など
洪水・土砂崩れ・高潮等に起因する水災集中豪雨などによる店舗への浸水
浸水に起因する商品へのダメージ
土砂崩れによる事務所の倒壊など

近年の自然災害への保険金支払事例

自然災害は、年々規模が大きくなっています。

大規模災害で被災すると、元の生活に戻るためには、膨大な時間と労力、資金を必要とします。

また企業の場合は、利益損失やキャッシュフローの悪化などにより、休業を余儀なくされるだけでなく、廃業に追い込まれることもあります。

さらに、地域一帯の経済がストップする事態も考えられるでしょう。

このような事態に備えるため、保険への加入は今や必要不可欠となっています。

では実際に、災害によって発生した保険の支払金額はどのくらいになるのでしょうか。

ここでは、近年の自然災害に起因し、支払った保険金額について、事例と数字を見ていきましょう。

風水害への保険金支払事例

過去5年間の風水害への支払事例は、以下のようになっています。

※支払金額が大きい順に、5位まで表示しています。

順位発生年月災害名
対象地域
支払件数
(件)
保険金額
1平成30年9月台風21号
大阪・京都・兵庫等
857,28410,678億円
2令和元年10月台風19号(令和元年東日本台風)
東日本中心
295,1865,826億円
3令和元年9月台風15号(令和元年房総半島台風)
関東中心
383,5854,656億円
3平成30年9月~10月台風24号
東京・神奈川・静岡等
412,7073,061億円
4平成30年6月~7月7月豪雨
岡山・広島・愛媛等
55,3201,956億円
参照元:一般社団法人 日本損害保険協会 過去の主な風水災等による保険金の支払い

いずれの風水害も大規模ですが、1位の平成30年に起きた台風21号だけで1兆円、また同年に起きた3つの風水害への保険支払金額合計は、約1.6兆円となっています。

これだけの災害に備えるために、保険への加入が必要なことは、言うまでもありません。

地震災害への保険金支払事例

過去5年間の地震災害への支払い事例は、以下のようになっています。

※支払金額が大きい順に、5位まで表示しています。

順位発生年月地震名保険金額
1平成28年4月熊本地震3,883億円
2平成30年6月大阪府北部を震源とする地震1,162億円
3平成30年9月北海道胆振東部地震494億円
4平成28年10月鳥取県中部を震源とする地震55億円
5平成31年2月胆振地方中東部を震源とする地震33億円
参照元:一般社団法人 日本損害保険協会 地震による保険金の支払い

地震による被害は、建物や設備・什器、商品製品等の損壊など、事業そのものに影響を及ぼすことが多いため、再開までに時間がかかります。

また、津波や火災が原因で事業が立ち行かなくなり、さらに利益損失により資金繰りが上手くいかないと、廃業を余儀なくされる場合もあります。

このような事態に備えるためにも、法人保険へ加入し、備えを万全にしておきましょう。

ただし、地震への備えといえば地震保険、と考える方も多いかと思いますが、企業においては、主契約で地震・噴火・津波に起因する損害を補償することができない傾向にあります。

最近では、企業向けの地震保険商品を発売している保険会社も出てきていますが、加入には条件があり、全ての企業が加入できるとは限りません。

この場合、主契約に地震特約を上乗せする、という契約方式で、地震・噴火・津波によって生じた損害に備えることができます。

ここ近年は自然災害の多発に伴い、保険金の支払い額が増加しています。

このため、大手損害保険会社を中心に、保険料の値上げを2019年、2021年と2回行っています。

自然災害に備えられる法人保険5選

ここまで、自然災害が企業運営に及ぼす影響について、リスクや保険金額などを見ながら、解説してきました。

実際の数字を見ることで、法人保険を活用し、自然災害へ備えることがいかに重要か、お分かり頂けたのではないでしょうか。

ここでは、自然災害に活用することのできる法人保険について、ご紹介していきます。

企業火災保険

企業火災保険は、補償の範囲が幅広いことから、企業が加入することの多い保険の一つです。

火災だけでなく、不測の事故、自然災害によって、企業が保有する建物や設備、商品に受けた様々な損害を補償します。

事業内容や物件状況により、必要な補償が異なります。

工事保険

工事保険は、契約者を施工業者(建設会社)または施主(発注者)とし、工事期間中に発生するトラブルによって生じた「建物」への損害を補償する保険です。

完成した建物には火災保険が適用されますが、完成前の建物の保険は工事保険での対応となります。

補償は現場敷地内に限られ、道具や工具、重機等は対象外です。

工事の目的により、掛ける保険が異なります。

工事の目的物保険名称補償対象
建設工業建設工事保険工事期間中に建物に生じた損害を補償する保険
プラント・設備・機械・鋼構造物等組立保険機械や設備を組み立てる作業や工事で生じた損害
土木工事土木工事保険土木工事の最中に工事対象物や資材に生じた損害

企業財産保険・企業財産包括保険

企業財産保険・企業財産包括保険も、火災保険と同様に、企業が保有する建物や設備、商品などに受けた損害を補償する保険です。

火災保険と違う点は、保険設計の自由度が高いため、自社のニーズに合わせた、合理的な保険を組みやすい、というところです。

それぞれの違いは以下の通りです。

企業財産保険・・・店舗や拠点ごとに単体で加入

企業財産包括保険・・・複数の店舗や拠点をまとめて1つの保険契約で補償

動産総合保険

動産保険は保管中や輸送中、展示中の事故で発生した損害を補償する保険です。

動産とは不動産以外の財産のことで、デスクや椅子などの什器、パソコンやプリンター、商品や現金、小切手なども補償対象になります。

ただし、自動車や船舶など、個別に保険のあるものは補償対象になりません。

火災保険と重なる部分が多い動産総合保険ですが、法人向けの火災保険は上限が20~30万円と、補償の上限額が決められているのに対し、動産総合保険には上限額がありません。

このため、高額な動産を多く保有している場合は、加入をおすすめします。

物流総合保険

物流総合保険は、製品や材料の輸送中、または加工中に起こったアクシデントによる損失をカバーする保険です。

自社倉庫で製品を保管している企業のリスク対策に適しています。

ただし現金や有価証券、貴金属、宝石、美術品などは補償の対象になりません。

なお、保険の種類については、こちらで詳細を解説していますので、ご参照ください。

法人保険の種類と特徴を「企業防衛・福利厚生・事業継承」の3プランで紹介

まとめ

ここまで、自然災害に備えるための法人保険について、補償例や保険の種類などをご紹介してきました。

自然災害に遭遇し、被災すると、規模の大小を問わず、経営に影響を及ぼす恐れがあります。

また、大規模災害で被害を被り、事業が再開できないほどのダメージを負った場合、休業や事業停止のみならず、廃業に追い込まれることも考えられます。

このような場合に備え、法人保険に加入することで、災害に対するリスクマネジメントが盤石なものになります。

今回ご紹介した方法を参考にして、自然災害に活用できる法人保険を検討のうえ、ご加入されることをおすすめします。

とはいえ、保険商品をどう選択するべきか、判断するのはなかなか難しいのではないでしょうか。

そのような悩みをお持ちの場合は、保険のプロに相談してみましょう。

保険のプロフェッショナルサービスを展開している「クボキ保険サービス」が、地元である和歌山県を中心に、全国でお客様のライフプラン・ビジネスプランを聞かせて頂いております。

保険に携わって20年、経験豊富な法人保険のスペシャリストが、自然災害へのリスクマネジメントをお手伝いします。

保険を売るのではなく、お客様の思いに答えられる情報を提供したうえで、お客様自らが納得感をもって、保険商品を選んでもらえるようなご提案を心がけています。

今回ご紹介した保険につきましても取り扱い、保険会社の商品を各種取り揃えております。

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