労働災害には法人保険を活用しよう|補償内容や種類も紹介

「労働災害」への備えは、企業におけるリスクマネジメントの一つです。

万が一事故が起こった場合への備えを万全にすることで、会社の運営を盤石にすることができる、といっても過言ではありません。

労働災害に備える方法として、政府の労災保険を思いつく方が多いと思いますが、経営者のなかには「これだけで大丈夫なんだろうか・・」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような場合に有効なのが法人保険です。労災保険だけでは不安な経営者様にとって、法人保険は経営の下支えをする、心強い味方となってくれるでしょう。

今回は、法人保険を労働災害に活用するべき理由や補償内容、種類をご紹介します。

ぜひ、参考にしていただければと思います。

目次

労働災害とは

労働災害とは、業務中や通勤中に、労働者が被った負傷、病気、死亡などを言い、業務中の災害を「業務災害」、通勤中の災害を「通勤災害」と呼びます。

労働災害として認定されるには、労働者が事業主の監督・支配のもとで、業務が原因で発生した災害であるという条件を満たす必要があります。

労災保険の基礎知識

労災保険は、労働災害を被った場合に、必要な保険給付を行う制度です。

ここでは、労災保険の基礎知識について、解説します。

労災保険とは

労災保険は、政府による公的な保険制度で、正式名称を「労働者災害補償保険」といいます。

労働者が通勤時や業務でけがをしたり、病気にかかった場合に、その生活を補償する制度で、保険料は全額事業主負担です。

事業主は一人でも労働者を雇用したら、労災保険に加入し、保険料を納付する義務があります。

雇用されている従業員は、パート、アルバイトなどの形態に関わらず、全ての労働者が適用対象となります。

労災保険で受けられる補償

労働災害と認められると、以下の補償が受けられます。

療養(補償)給付治療、居宅における看護、病院等への入院・看護などの療養
休業(補償)給付療養中の休業4日目から給付基礎日額の60%相当、特別支給金20%が支給される
障害(補償)給付後遺障害が残った場合、障害に応じて一定額の年金または一時金が支払われる
遺族(補償)給付労災により労働者が死亡した場合、遺族に支払われる

他にも、葬祭料、傷病(補償)年金、介護(補償)給付、二次健康診断等給付などがあります。

ちなみに労災保険は、災害によって給付名が違います。

療養(補償)給付を例に挙げると、業務災害の場合は「療養補償給付」、通勤災害は「療養給付」と呼ぶことで区別しています。

労災保険では100%カバーできない補償がある

労災保険には、災害を被った当人はもちろん、遺族に対しても補償はあるものの、全ての罹災を全額補償するものではありません。

例えば休業補償給付は、療養中の休業4日目から給付基礎日額の60%相当、特別支給金20%が支給と、全額補償ではないことが分かります。

休業の事由が、業務が原因で起こったけがや病気であるにも関わらず、100%補償がなされないというのは、従業員にとって納得のいくものではないでしょう。

このように、労災保険には100%カバーできない補償がある、と把握しておくことは、非常に重要です。

労働災害に活用できる任意労災保険

労災保険で補償しきれない部分を補えるのが、任意労災保険です。

労災保険が強制加入の政府による公的な保険制度であるのに対し、任意労災保険は、民間の損害保険制度です。

加入は任意で、主に以下の4つがあります。

  • 業務災害補償保険
  • 傷害保険
  • 法定外補償保険
  • 使用者賠償責任保険

任意労災保険は、労災保険とは別に補償を受け取れます。

このうち、法定外補償保険と使用者賠償責任保険は、労災保険に上乗せして補償されるため、「労災上乗せ保険」と呼ばれています。

各保険会社によって、保険の種類や内容、保険金額には違いがありますが、共通するのは、補償の範囲が幅広い、ということです。

このため、労災保険では補償できない部分の賠償責任へ備えることができます。

例えば、業務外で起きた傷病を補償する特約を上乗せできるなど、労災保険の範囲を超えた、福利厚生並みの手厚い補償を受けることができるのです。

また、労災保険の被保険者は、事業主に使用されている労働者(従業員)であり、原則事業主には適用されません。

そのため、事業主である経営者や役員が業務中の事故で罹災した場合、労災保険で補償を受けることはできません。

さらに、労働災害で罹災した従業員に対する見舞金や賠償金についても、労災保険の補償対象外です。

このような場合でも、任意労災保険に加入していれば、賠償金などの支払いが原因で、会社のキャッシュフローが悪化する事態を防ぐことができます。

そして、経営者や役員が業務中の事故に罹災した場合でも、治療費を補償することができます。

このように、任意労災保険を活用すれば、福利厚生を充実させることもできるうえ、事業者の賠償リスクにも備えることができるため、経営の安定化にも繋がります。

任意労災保険への加入が必要な理由

任意火災保険への加入は義務ではありませんが、労災保険で補償しきれない部分をカバーできるなど、加入しておくと様々なリスクに対応することができます。

ここでは、任意労災保険への加入が必要な理由を、具体的にご説明します。

労災認定を待たずに補償される

任意労災保険のうち、業務災害補償保険は、重大事故の場合でも、労災認定を待たずに補償されます。

労災保険は、労働災害が障害が残った場合、または死亡事故などの重大事故の場合は、労災認定されてから保険金が支払われるまで、かなり時間がかかります。

理由としては、会社から労働基準監督署へ請求書を提出した後、内容確認、調査、といった一連の流れに時間を要するためで、労災認定されるまでに1~2年かかることもあります。

しかし、業務災害補償保険に加入していれば、労災認定を待たずに補償されるため、迅速な対応をすることができます。

迅速な対応をすることで、災害を被った社員や遺族に誠意ある対応ができるだけでなく、会社のイメージや信用が損なわれるリスクも軽減できます。

事業者の負担を補う

労災保険は、従業員が災害を被った場合に適用されます。

ですので、従業員の死亡や障害などで、事業主が損害賠償を請求された場合には、労災保険でカバーすることはできません。

請求金額が高額になってしまうと、キャッシュフローに悪影響を与えることもあります。

このような場合に、法定外補償保険に加入していれば、損害賠償の支払いにかかる費用を、保険金で賄うことができます。

労災保険のこうした点を補えることも、任意労災保険への加入が必要な理由の一つです。

任意労災保険の補償内容

任意労災保険が、労災保険で補償しきれない部分をカバーすることはお分かり頂けたかと思いますが、補償内容はどのようになっているのでしょうか。

ここでは、任意労災保険の補償内容について、解説します。

社員の死亡時または障害を負った場合の補償

受けられる補償は、死亡、後遺障害保険金、入院給付金、通院給付金で、労務トラブルが発生した際の相談費用なども対象になります。

補償金額は、業務による負傷及び疾病において、以下のようになっています。

死亡した場合・・・満額

後遺障害の場合・・・等級に応じた金額

入院や通院の場合・・・日数に応じた金額

また、休業補償にも対応しているため、従業員が労働災害で罹災し、休業した場合でも、従業員への給与を支払うことができます。

労災訴訟を受けた場合の補償

労災訴訟は、労働災害で罹災した従業員や家族が、使用者の責任を問い、訴訟を起こすことをいいます。

その場合、損害賠償金や示談金、弁護士への相談費用、慰謝料など、高額になることは必至です。

しかし、これらの費用は、労災保険の補償対象にはなっていません。

よって、会社に資金力がない場合、キャッシュフローが悪化し、休業や廃業に追い込まれるケースもあります。

このような場合に備え、任意労災保険に加入しておくことは非常に重要です。

経営者・役員の治療費の補償

労災保険は基本的に、従業員を守ることが目的です。

よって、業務中の事故で罹災した場合でも、事業主や役員は対象外となり、治療費は自己負担となります。

このような場合に備え、任意労災保険に加入していれば、事業主や役員も、治療のための補償を受けることができます。

任意労災保険へ加入することは、会社にとって必要不可欠な経営者や役員を守ることにも繋がるのです。

任意労災保険の種類

ここまで、任意労災保険へ加入する理由や補償内容について解説してきました。

会社によって加入目的は様々ですが、任意労災保険が企業防衛・福利厚生といった側面を持つことはお分かり頂けたと思います。

ここでは、任意労災保険の種類について、ご説明します。

業務災害補償保険

業務災害補償保険は、従業員の就業中のけがや死亡、後遺障害、入院、通院の補償、労働災害における事業者側の賠償責任も補償する保険です。

最大の特徴は、労災保険の不足分をカバーすることはもちろん、けがについては、労災保険の認定を待たずに補償金が支払われる点です。

保険期間は1年間で、保険契約の更新時の年間売上高や、補償対象者の人数によって保険料が変動します。

また、業種によっても保険料率が変わります。

労働災害総合保険

労働災害総合保険は、政府の労災保険で労災認定がされた場合、上乗せして補償できる保険で「労災上乗せ保険」とも呼ばれます。

労災上乗せ保険の種類は、以下の2つです。

法定外補償保険

従業員が業務中の罹災が原因で身体障害を負い、労災保険の給付対象になった際、政府の労災保険に上乗せ補償として、負担する金額を補償する保険です。

使用者賠償責任補償保険

事業主が損害賠償を請求された場合、自社が負担する法律上の損害賠償金、および賠償問題解決のために支出する費用を補償する保険です。

「法定外補償保険」と「使用者賠償責任保険」の2つの補償で構成され、どちらか一方だけでも契約できます。

ただし、労災保険の支給決定が補償の条件になるため、業務災害補償保険と違い、すぐに保険金の支払いができず、入院や通院の補償もできませんので、注意が必要です。

なお、保険の種類については、こちらで詳細を解説していますので、ご参照ください。

法人保険の種類と特徴を「企業防衛・福利厚生・事業継承」の3プランで紹介

まとめ

ここまで、労働災害に法人保険を活用するべき理由や、保険の種類などをご紹介してきました。

労働災害に法人保険を活用し、労災保険ではカバーしきれない部分を保障することで、業務上のリスクに盤石な備えができます。

今回ご紹介した方法を参考にして、労働災害に活用できる法人保険を検討のうえ、ご加入されることをおすすめします。

とはいえ、保険商品をどう選択するべきか、判断するのはなかなか難しいのではないでしょうか。

そのような悩みをお持ちの場合は、保険のプロに相談してみましょう。

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