事業継続計画(BCP)策定の5ステップとおすすめの法人保険6選

大規模な自然災害や、感染症の蔓延などの事象、経営者の万が一など、企業の緊急事態は経営に影響を及ぼす可能性があります。

また、場合によっては事業停止などの事態に追い込まれることもあるため、あらゆる方面から計画性をもって、出来得る限りの手段で備えを万全にしておくことが重要です。

こうした事態における事業継続の取り組みの一つに、法人保険があります。

事業を継続するための計画を万全に行い、法人保険を活用することで、万が一の緊急事態に備えることができます。

今回は、事業を継続する計画の策定方法や、活用できるおすすめの法人保険をご紹介します。

目次

事業継続計画(BCP)とは

事業継続計画とは、BCP(Business Continuity Plan)とも呼ばれます。

内閣府の事業継続ガイドラインによると、以下のように定義されています。

大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画のことを事業継続計画(Business Continuity Plan、BCP)と呼ぶ。

内閣府 事業継続ガイドライン

下記の表は、事業継続計画の概要を図にしたものです。

緊急事態が発生した後に、許容限界以上のレベルで事業を継続させ、許容される時間内に事業の復旧を目指すことが事業継続計画の役目となっていることが分かります。

出典元:内閣府 事業継続ガイドライン

近年では、集中豪雨や地震などの自然災害や、新型コロナウイルスの影響もあり、有効な手段を講じることができず、事業を縮小して従業員を解雇したり、事業停止のみならず、廃業に追い込まれる事態が散見されます。

このような事態に備え、平常時から事業継続計画を策定・運用し、緊急時に事業を継続・早期復旧を図ることは企業にとって、重要かつ喫緊の課題ともいえるのではないでしょうか。

事業継続計画がなぜ必要か

事業継続計画が、事業を継続するために必要であることはお分かり頂けたかと思います。

ここではさらに、事業継続計画がなぜ必要かについて、具体的に解説します。

緊急時に会社の事業継続を守る

自然災害によって被害を受けたときに、一番大変なのは会社を通常運転に戻すことです。

被災すると、設備の破損やライフラインの停止、必要な数の従業員が出社できなくなることや、復旧までの労力や費用が想定外に大きいことから、廃業に追い込まれてしまう企業も少なくありません。

このような事態に対応するために、できる限り短時間で復旧させる事業継続計画の策定が必要です。

従業員の安心と安全を守る

非常事態に備えて業務を継続できる体制を布くことで、従業員への賃金や退職金の不払いが避けられるなどの効果が得られます。

また、雇用を確保できることで、企業の財産ともいえる従業員の安心と安全を守ることができます。

このように、緊急事態をあらかじめ想定し、準備しておくことで、予期せぬ事態による混乱を防ぎ、落ち着いて対処することができます。

お客様や取引先からの信頼を得る

事業継続計画が策定されていることで、お客様や取引先に負担をかけることを避けられ、信頼を得ることができます。

まずお客様に対しては、早期にビジネスを再開できることができ、サービスを提供できないことが原因で、他社などへ乗り換えられるリスクも軽減できます。

また昨今では、災害などで突然業務ができなくなった場合、極力業務に支障が出ないよう、いち早い事業再開を目指します。

このため、自社・取引先の双方で、事業継続計画がしっかりとできている企業を、互いに選びたいと考える傾向が強くなってきています。

この際、事業継続計画があることで、取引先からの信頼を得ることができます。

地域経済の活力維持に貢献する

事業継続計画は、地域経済の活力維持にも力を発揮します。

企業は通常、地域との関わりが密接な事が多く、自然災害などで自社の事業が立ち行かなくなると、地域への経済効果が下がり、活力維持の一端を担うことができなくなります。

また、地域一帯の企業が事業継続計画を策定していない場合は、その地域のみならず、広範囲にわたって経済活動がストップし、活力が損なわれます。

地域一帯の企業が事業継続計画を設けていれば、経済活動が停止することなく、速やかに復旧・復興が行われるため、地域経済の活力を維持することができます。

このためには、自社はもちろん、地域企業全体が、事業継続計画の策定に取り組むことが重要です。

事業継続計画の策定5ステップ

事業継続計画には、業種によって様々な策定方法のテンプレートがありますが、大切なのは、自社に合った策定方法で、効果的に実施することです。

ここでは事業継続計画策定方法の一例を、5ステップでご紹介します。

基本方針を立案・作成する

まず基本方針を立案・作成します。

このために基本となる考え方としては、

  • 事業継続計画の基本方針を定める
  • 想定される緊急事態を絞る

の2点が挙げられます。

自然災害など、想定できるあらゆるリスクをリストアップし、発生時に自社にどのくらいの影響を及ぼすかや可能性を考慮して、災害・事故など、起こりうる緊急事態を絞ります。

被災した場合、会社がどのようなダメージを負うのかを想定することで、事前対策の制度が増し、被害を最小限に食い止め、復旧までの時間を短縮できます。

ちなみに、事業継続計画が企業内の全ての部署に関わることから、主幹部署としての役割を総務部が担う場合や、企業規模によってはプロジェクトチームが編成されることもあります。

復旧を優先する中核事業を選定する

次に、復旧を優先する中核事業を選定します。

基本的には中小企業庁が想定した「人・モノ・サービス・情報・カネ」といった、いわゆる「ボトルネック資源」と呼ばれる項目があります。

このような項目から、自社の業務を継続するために不可欠な「経営の資源」を選びます。

その際基準となるのが、

  • 企業の売上に最も貢献している事業
  • 損害が最も大きい事業(商品の納期の遅れなど)
  • 会社の評判や市場シェアを維持するために有用な役割を担う事業

などがあります。

重要業務を特定する

緊急事態の状況下で、災害による被害を分析し、事業がどのような影響を受けるかを試算します。

そして、組織の活動(業務)を復旧の優先順位に分けて分類し、重要業務を特定します。

これを、ビジネスインパクト分析(Business Impact Analisis、BIA)といい、事業継続計画において実行しなければならない要素です。

ビジネスインパクト分析を行う目的は、主に3つです。

  • 事業継続のために必要な業務・リソースを把握する
  • 災害時に早期復旧を目指す業務に優先順位をつける
  • 各業務における目標復旧時間(Recovery Time Objective、RTO )を算出する

具体的な流れとしては、以下のようになります。

  • 事業を構成する各業務を分解
  • それぞれの業務を継続するための必要リソースを徹底的に洗い出す
  • 業務が停止した場合の事業への影響度を洗い出す
  • 業務停止が許されるタイムリミットとして「目標復旧時間(RTO)」を設定する

事前対策を実施する

被害状況によっては、中核事業の継続に必要な資材などが利用できなくなるなど、自社単独での復旧が困難な場合もあります。

その場合の備え、代替手段を検討しておく必要があります。

これまでの分析結果に基づき、目標時間内に事業を復旧できるよう、事前対策を検討し、実施します。

また、早期復旧に向けて、同業他社と協力したり、災害復旧会社の活用も含めたうえで対策を立てると良いでしょう。

緊急時の対策を整備する

ここで、緊急時の対策を整備します。

  • 事業継続計画実施にあたり、総括責任者・副責任者を任命する
  • これまでに策定した内容をもとに、事業継続計画の発動基準を明確にし、発動基準を定める
  • 事業継続に必要な帳票などを整理し、文書化する

また、実際の災害時に、社員全員がどのような動きをするのが望ましいのか、自社独自のワークフローを具体的に取り決めておきましょう。

ちなみに、中小企業庁が公表している「BCP取組状況チェック」は、事業継続計画の有効性を判断するのに便利なチェックシートですので、ご活用されることをおすすめします。

中小企業庁「BCP取組状況チェック」

事業継続計画策定後も、このようなツールなども取り入れながら、常に最新の状態に保てるようにアップデートをしていきましょう。

事業継続計画におすすめの法人保険6選

事業継続計画における法人保険の役割は、緊急時の損害額を早期回収し、事業を継続させることです。

災害が発生したり、経営者に万が一のことがあった場合には、利益の損失や、収益減少などで、事業が継続できなくなることが予想されます。

そのような場合に備え、経営を継続する財源を確保しておく必要があります。

法人保険は、そうした事態に備えることができるため、事業継続計画の策定と併せて検討のうえ、加入することをおすすめします。

災害に備える保険

災害が発生した場合、会社や顧客、雇用を守るには、即座に損害軽減対策を行うことが大切で、必要なキャッシュフローを確保し、企業の利益減少・損失を補填する必要があります。

その際に活用できる法人保険として、以下の3つがあります。

企業火災保険

企業火災保険は火災だけでなく、不測の事故、自然災害によって、企業が保有する建物や設備、商品などに受けた損害を補償する保険です。

企業財産保険・企業財産包括保険

企業財産保険・企業財産包括保険も、火災保険と同様に、企業が保有する建物や設備、商品などに受けた損害を補償する保険です。

火災保険と違う点は、保険設計の自由度が高いため、自社のニーズに合わせた、合理的な保険を組みやすい、というところです。

物流総合保険

物流総合保険は、製品や材料の輸送中、または加工中に起こったアクシデントによる損失をカバーする保険で、自社倉庫で製品を保管している企業のリスク対策に適しています。

経営者・従業員の万が一に備える保険

事業継続計画を策定する際は、災害のみならず、経営者に万が一のことがあった場合のリスクに備え、準備をしておく必要があります。

また最近では、新型コロナウィルスの集団感染が原因で、事業を続けることが難しくなり、事業を縮小したり、廃業に追い込まれる可能性もあります。

また、会社にとって財産ともいえる、従業員を失うリスクなども考えられます。

このような、会社を取り巻く状況や、社会情勢の変化に備えるために、事業継続計画を策定するとともに、保険を活用することが重要です。

経営者・従業員の万が一に備えることのできる保険は以下の3つです。

医療保険・がん保険

医療保険は、病気やけがなどにより、入院や手術をした場合などに給付金が支払われる保険で、がん保険は、がんによる入院や死亡を保障する保険です。

いずれも法人契約の場合、一生涯保障や、終身型で解約返戻金のある商品もあり、経営者の万が一の事態による会社の利益減少・損失を補填することができます。

定期保険

定期保険には様々な種類がありますが、いずれも経営者の万が一の場合に、保険金等を事業保障資金等の財源確保の目的で活用することができます。

定期保険には主に、以下の種類があります。

  1. 逓増定期保険
  2. 平準定期保険
  3. 長期平準定期保険
  4. 生活障害保障定期保険

業務災害補償保険

従業員の就業中のけがなどによる死亡や後遺障害、入院、通院を補償する保険です。

また、労働災害における事業者側の賠償責任も補償する保険です。

最近では、新型コロナウィルスによる集団感染(クラスター)が発生した場合も補償できる保険が登場しています。

なお、保険の種類については、こちらで詳細を解説していますので、ご参照ください。

代表的な法人保険の種類と特徴|生命保険・損害保険・その他

まとめ

ここまで、事業継続計画の策定方法や、活用できる法人保険についてご紹介してきました。

事業継続計画を策定することは、会社の危機に対応するうえで非常に重要です。

また法人保険は、事業継続計画と併せて活用すれば様々なリスクに対応することのできるセーフティーネットとしての役割を担うことができます。

今回ご紹介した方法を参考にして、事業継続計画に活用できる法人保険を検討のうえ、ご加入されることをおすすめします。

とはいえ「法人保険でどのように備えたら良いのか、保険商品をどう選択するべきか、判断するのはなかなか難しい」とお考えの場合は、保険のプロに相談してみましょう。

保険のプロフェッショナルサービスを展開している「クボキ保険サービス」が、地元である和歌山県を中心に、全国でお客様のライフプラン・ビジネスプランを聞かせて頂いております。

企業が安心して事業を継続し、発展を続けられるように、保険に携わって20年、経験豊富な法人保険のスペシャリストが、企業のあらゆるリスクマネジメントをお手伝いします。

保険を売るのではなく、お客様の思いに答えられる情報を提供したうえで、お客様自らが納得感をもって、保険商品を選んでもらえるようなご提案を心がけています。

事業継続計画につきましては、様々な業種・業態のリスクマネジメントを経験し、自社でも実施している事業継続計画のノウハウがあります。

こうした実績から、企業の事業内容や事業規模に応じた適切なアドバイスとツールで、お客様の事業継続計画策定と実施をサポートさせて頂きます。

企業の体制強化をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

また、今回ご紹介した保険につきましても取り扱い、保険会社の商品を各種取り揃えております。

お問い合わせは無料ですので、ぜひご活用くださいませ。