個人保険、法人保険の切り替え時に注意すべき5つのこと

保険は大きく分けると個人保険と法人保険の2つがあります。

これらの保険は個人から法人、または法人から個人と、名義を切り替えるケースは少なからず発生します。

この記事ではどんなときに保険を切り替えるのか、また切り替え時にはどんなことに注意すべきなのかをご紹介していきます。

目次

個人保険、法人保険を切り替えるのはどんなとき?

個人保険、法人保険を切り替えるのはどんなときなのでしょうか。

ここでは個人から法人、法人から個人そして法人から法人と3つのパターンにわけてお伝えしていきます。

先に知っておけば、いざ自分がそういう状況になっても安心です。

個人から法人に切り替えるとき

個人から法人へ保険の名義を変更するケースは意外と多いと思います。もともと個人で入っていた保険を会社に切り替えるケースなどです。

例えば、個人事業主が法人化した場合や会社員が起業した場合など、会社設立時に多く見られます。

法人側としては個人から生命保険を買い取ることになります。解約返戻金相当額が買い取り価格となるのが一般的です。

個人側としては解約返戻金相当額を受け取ります。この受け取った金額は一時所得となります。

法人から個人に切り替えるとき

法人から個人に保険の名義を変更するケースもあります。

これは退職金の代わりとして現物支給する場合が一般的です。他にも、がんになり保険料免除特約により以後の保険料を支払う必要がなくなったため、個人名義に変更して家族の生活保障に充てる場合もあります。

退職金代わりとして支給した場合、法人側では退職金支払いの処理が必要です。解約返戻金の有無により一部または全額が経費になります。

個人側としては解約返戻金相当額が退職所得になり税金が課されます。また、退職以外の理由の場合は退職金ではなく給与扱いになりますので注意が必要です。給与扱いの場合は通常の給与と同じように所得税などの税金が課されます。

法人から法人に切り替えるとき

法人から個人または個人から法人に比べると多くはありませんが、法人から法人に名義変更するケースもあります。

例えば、従業員が子会社に転籍したときなどが該当するでしょう。他にも、別法人を設立したので、解約返戻金が低いうちに別法人に契約を変更する場合などがあります。

名義変更先の法人は、名義変更元の法人から生命保険を買い取ることになるので税金処理が必要です。通常、解約返戻金相当額で買い取りが行われます。

名義変更元の法人も、解約返戻金相当額の金銭を受け取りますので同様に税金処理が必要です。なお、無償で譲渡が行われる場合もありますが、その場合は寄付金や雑収入等で処理されるのが一般的です。

個人保険、法人保険3つの違い

ここまで個人保険と法人保険の切り替えについてお伝えしてきました。

では、個人保険と法人保険では、どんな違いがあるのでしょうか。ここからは個人保険、法人保険の違いを3つご紹介します。

法人保険の方が節税効果が高い

一般的に個人保険よりも法人保険の方が保険料は割高になります。しかし、法人保険は保険料を損金化できるため節税効果が期待できます。

もちろん、保険料が高くなるほど会社のキャッシュフローが悪化しますので、節税を目的にせずに会社の経営状況を考える必要はあるでしょう。個人保険の場合でも保険料控除はありますが、法人保険ほどの節税効果は期待できません。

法人保険の方が保険金や給付金の手続きが大変

法人保険では受取人が法人の場合、保険金や給付金は会社に入ります。そのため、経営者に万が一があった場合でも保険金や給付金で売り上げ減をカバーできるでしょう。

ただし、法人が受け取るということは当事者が直接受け取れないということでもあります。そのため、雑収入で処理した後に見舞金で損金処理するなどといった手続きが必要になります。

個人保険であれば、保険金や給付金を直接個人が受け取れるため手続きが簡単です。

法人保険は従業員の福利厚生に充てることができる

法人保険は福利厚生としての役割を果たすこともできます。

例えば、保険の解約返戻金を退職金に充てたり、ケガや疾病の際に給付金を見舞金に充てたりと、従業員の万が一に備えることができます。

福利厚生を充実させることによって従業員の勤労意欲や帰属意識を高めることにつながります。また、優秀な人材の確保や定着させる効果も期待できるでしょう。

個人保険、法人保険の切り替え時に注意すべき5つのこと

節税効果が期待できるからといって無闇に法人保険に切り替えても、実は思ったほど節税にならなかったということもありえます。最後に個人保険、法人保険の切り替え時に注意すべきことを5つご紹介します。

切り替え時に資産計上する必要がある

先述のとおり、保険の切り替えは「個人から法人」「法人から個人」「法人から法人」と3パターンがあります。

それぞれで資産計上の処理が異なりますし、買い取りか譲渡か、解約返戻金があるかないかによっても変わってきます。

なかには、法人側だけでなく個人側にも税金がかかってくる場合もあるでしょう。そのため、正しい処理方法を知り、税金がどれくらいになるのかをシミュレーションしておくことが重要です。

保険金・解約返戻金が課税対象になる

法人保険の解約返戻金は益金として処理する必要があり課税対象となります。ただ解約返戻金を受け取るだけでは、法人税が増えてしまうだけです。

そうならないためにも、保険金や解約返戻金の使い道をあらかじめ決めておきましょう。法人保険の解約返戻金は、従業員の退職金などの原資に充てられるなどさまざまなメリットがあります。

解約返戻金を受け取った際に、同じだけの支出ができるようにあらかじめ解約返戻金の使い道を決めておくことが重要です。

個人保険でも契約者と受取人により所得税や贈与税がかかる場合もあります。ただし、特別控除や基礎控除があるためそれほど多くはないでしょう。

法改正される可能性を考慮しよう

個人保険ではそれほど気にすることはないかもしれませんが、これまで国税庁により法人保険による税金対策が規制されてきました。保険の本来の目的は保障であって節税ではないからです。

解約返戻率が高い保険ほど、契約から一定期間損金として計上できる割合が小さくなったりと、以前ほどの節税効果が期待できなくなってきています。

今後も法改正が行われる可能性はあるかもしれませんので考慮しましょう。

節税を目的にしないように

法人保険はうまく活用すれば節税効果は期待できますが、節税を目的にしないようにしましょう。法人保険は従業員の退職金の準備や福利厚生の充実など本来の目的があるはずです。

目的が節税になってしまうと、仮に節税できていたとしてもいざというときに十分に保障が受けられないということにもなりかねません。自分の会社に最適なは保険はどんな保険なのか?という視点が重要になります。

専門家に相談しよう

保険にはメリットもたくさんあります。しかし、間違った保険に入るとメリットを最大限に活かせません。重要なのは法人保険であれば自分の会社に最適な保険を見極めることです。

それは個人保険でも同じです。今の自分もしくは家庭に最適な保険は何なのかの見極めが大切になります。

だけど自分の会社や自分の家庭に最適な保険を見極めるのは簡単ではありません。やはり専門家に相談するのがおすすめです。

法人保険、個人保険を切り替える場合には、保障内容の見直しなども含めて相談されるとよいでしょう。

まとめ

個人保険、法人保険の切り替えについてご紹介してきましたがいかがでしょうか。

保険の切り替えは「個人から法人」「法人から個人」「法人から法人」の3つのパターンがあり、それぞれで手続きが異なります。

法人保険はうまく活用できれば、保障を得られるだけでなく、節税や従業員の福利厚生にも充てることができます。

個人保険、法人保険を切り替えるとき、もしくは切り替えを検討しているときは、一度専門家に相談するのがおすすめです。