法人保険はこう比較する!|目的に応じた比較・検討方法を徹底解説

法人保険は、企業の抱えるリスクに備えられるだけでなく、福利厚生や退職金の貯蓄など、目的に合わせた幅広い用途に活用できます。

このため、自社に最適な保険を選び、会社経営を盤石にしたい、と考える経営者様もいらっしゃるかと思います。

ただ保険は種類や商品が多い分、その仕組みや内容は非常に複雑なため、比較・検討するための基準や方法などがあれば助かるのに、と考えることもあるのではないでしょうか。

今回は、法人保険の比較・検討の方法やコツ、注意点などを解説しますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

目次

法人保険を目的別に比較する

法人保険を比較する前に、何のために加入するのか、その目的を明確にしましょう。

保険に加入するということは、保険料の支払いが発生するということです。

退職金準備のために契約したい、事業保障を重点的に考えたい、といった目的をはっきりさせずに加入すると、必要のない保障にお金を支払うことになるだけでなく、企業のキャッシュが減少し、損失が出る場合もあります。

このようなことのないように、目的を明確にしてから比較・検討しましょう。

ここでは、代表的な4つの目的別に、法人保険に向いている保険をご紹介しますので、比較・検討の材料として、ぜひ参考になさってください。

退職金準備

法人保険を活用し、役員や社長の高額な退職金のために準備する経営者は多くみられます。

主に選ばれているのが貯蓄性の高い保険です。商品によって、解約返戻率のピークを迎えるスピードもかなり違ってきます。

このため、かなり先の退職に備えて長期的に貯めるのか、ここ数年のうちに退職を迎えるための準備なのか、目的に合わせた保険の種類を選びましょう。

退職金準備の目的で選ばれる主な保険は、以下の3つです。

養老保険

養老保険は、貯蓄性のある保険です。

保険契約の満期を迎えるともらえる「満期保険」があることが特徴ですが、途中で解約しても解約返戻金がもらえます。

つまり、死亡時のみならず、生存時にも保険金が支給されることから、死亡退職金・生存退職金の準備に向く保険です。

また、条件を満たせば、支払い保険料の半額を損金、残り半額を資産計上できる「ハーフタックス」が認められることからも、人気の保険です。

長期平準定期保険

保険料が掛け捨てになる定期保険の中でも、保険期間を100歳満期に設定することができるなど、保障期間が比較的に長い保険のため「長期保険」とも呼ばれます。

解約返戻金があり、返礼率は70%から85%前後と貯蓄性の高いものが多いのですが、終身保険とほとんど変わらない保険期間で、終身保険より支払う保険料が比較的安いことが特徴です。

法人の経営者や役員が被保険者となって、退職金の積み立てに活用されることの多い保険です。

逓増定期保険

保険期間の経過に伴い、死亡保険金が増加していく保険で、契約から満期までに、保障額が最大で5倍になります。

毎年の保険料は一定なのですが、毎年保障額がアップすることもあって、定期保険と比較して、保険料が高いことが特徴です。

解約返戻金のピークが比較的早く、5年目~10年目に設定されているため、退職時期が比較的近い時期の準備金として向いています。

福利厚生

法人保険を社員の福利厚生に活用することもできます。

医療保険やがん保険に加入し、病気などの入院時に見舞金とする、社員の退職金準備のために積み立てる、といったパターンです。

福利厚生は、社員のモチベーションや企業への定着率・業績アップにも貢献します。

また求人募集の際も、福利厚生が充実していることで、企業のイメージが向上し、応募者が増えることで、人手不足解消につながる、といったメリットもあるのです。

社員が増えてきた、もしくはもっと人を増やしたい、などの理由で福利厚生の導入を考える場合は、企業の現状や今後の事業計画を考えたうえで、法人保険を検討してみましょう。

福利厚生の目的で選ばれる主な保険は、以下の3つです。

養老保険

養老保険は、貯蓄性のある保険です。

保険契約の満期を迎えるともらえる「満期保険」があることが特徴ですが、途中で解約しても解約返戻金がもらえます。

つまり、死亡時のみならず、生存時にも保険金が支給されることから、死亡退職金・生存退職金両方の準備に向く保険です。

福利厚生に利用する場合は、契約者が法人、被保険者が役員・従業員、死亡保険金の受け取りは被保険者の遺族、満期保険金受取人は法人、という契約形態になります。

また、支払い保険料の半額を損金、残り半額を資産計上できる「ハーフタックス」は、福利厚生に利用する場合、社内規定を作成し、従業員全員が保険に加入すれば認められます。

医療保険

医療保険は、病気やけがなどに対し、給付金が支給される保険で、福利厚生に向いています。

保険料は基本的に掛け捨てのため、貯蓄性はほとんどありません。

定期保険タイプと終身保険タイプで保険料の損金計上ルールは異なるものの、どちらも保険料の一部を損金計上することができます。

がん保険

がん保険も貯蓄性のある保険で、がんと診断されたり、入院した場合に給付金が支給されます。

個人向けがん保険と、ほぼ同じ内容なのが特徴ですが、保障内容が比較的手厚い、終身タイプで貯蓄性のある商品もありますので、各社の商品をよく比較してから決めることをおすすめします。

事業保障

企業には、予期せぬ事態が起こる場合があります。このとき、法人保険が事業保障としての威力を発揮します。

中小企業や家族経営の場合は特にですが、企業の運営は、経営者である社長の経営能力や、人脈によって成り立つ部分が大いにあります。

このため、経営者に「万が一」の事態が起こった場合、一時的な企業の信用低下が原因で、借入金の返済や融資打ち切りなど、事業に大きな打撃を与えることもあるのです。

こうした事態に備えるために、経営者に保険をかけておけば、経営者が不在となった場合でも、企業が存続するように法人保険を活用することができます。

事業保障の目的で選ばれる主な保険は、以下の4つです。

逓増定期保険

保険期間の経過に伴い、死亡保険金が増加していく保険で、契約から満期までに、保障額が最大で5倍になります。

毎年の保険料は一定なのですが、毎年保障額がアップすることもあって、定期保険と比較して、保険料が高いことが特徴です。

解約返戻金のピークが、5年目~10年目に設定されているため、近い将来に設備投資などを計画している事業に対する資金調達にも向いています。

長期平準定期保険

保険の契約期間がとても長く、契約から満期までに、保障額が最大で5倍になり、解約返戻金のピークも、10年後~30年後に設定されていることもあることが、事業保障として活用される理由です。

医療保険

医療保険は、病気やけがなどに対し、給付金が支給される保険で、福利厚生に向いていますが、経営者が病気で倒れた場合の事業保障にも向いています。

個人向けと大差ない保険ですが、医療保険には病気やけが以外にも「名義変更プラン」と呼ばれる活用法があります。

これは、会社が保険契約者となって保険の支払いを済ませた後に、保険契約者の名義を従業員に変更することで、企業が損金を計上しつつ、従業員に医療保険の保障を譲渡する方法です。

この方法を活用すれば、経営者や役員が医療保険に加入するよりも、会社・個人の両者に、税制上のメリットが得られます。

がん保険

がん保険は、がんと診断されたり、入院した場合に給付金が支給されます。

このため、福利厚生のイメージが強いかと思いますが、保障内容が比較的手厚く、終身タイプで貯蓄性のある商品もあることから、事業保障に活用されることもあります。

また、解約返戻金のある商品もありますが、この場合は保険料が高額になります。

保険の内容は、個人向けがん保険とほぼ同じです。

事業継承

法人保険は、事業承継の目的でも活用できます。

経営者に万が一の事態が起こった場合、後継者に自社株や資産の相続が行われますが、企業そのものが相続財産とみなされ、相続税の対象になります。

この相続税は高額になるため、後継者に重い負担がのしかかってきます。

また、支払いができないと倒産の危機に追い込まれるなど、事業承継が円滑に進まず、支障をきたすことがあるのです。

この場合、後継者の予算確保として活用できるのが法人保険です。法人保険から支払われた死亡保険金は、事業承継時に発生する、高額な相続税を納税するための資金にすることができます。

また、法人保険を活用すれば、相続時に自社株の評価額を減らすことも可能です。

事業承継の目的で選ばれる主な保険は、以下の3つです。

逓増定期保険

保険期間の経過に伴い、死亡保険金が増加していく保険で、契約から満期までに、保障額が最大で5倍になります。

このため、比較的高額な死亡保険金を用意でき、相続税対策ができることが、授業承継にも向いている理由です。

終身保険

終身保険は貯蓄性があり、一生涯保障が続く保険で、被保険者が亡くなるまで保障が続くことが特徴です。

ただ、貯蓄性があり、資産計上されることから損金計上できず、税制上のメリットはほとんどないため、注意が必要です。

長期平準定期保険

保険の契約期間がとても長く、貯蓄性も高いことから、事業承継に活用されることもあります。

以上が目的別の保険種類です。確認のため一覧にしてみました。比較の際の参考にしましょう。

目的別おすすめの法人保険比較表

終身保険養老保険逓増定期
保険
長期平準
定期保険
医療保険がん保険
退職金準備
福利厚生
事業保障
事業承継
◎:非常に向いている 〇:向いている △:あまり向いていない

法人保険を比較する際のコツ

目的別に法人保険を比較することが大切だということはお分かり頂けたかと思います。

ただし、同じ保険種類でも、保険会社によって特徴に違いがありますので、それらの注意点をしっかり把握したうえで選ぶことが大切です。

ここでは、保険を比較する際のコツについて解説します。

保障内容が良いか

法人保険を比較する際、退職金準備や福利厚生など、加入する目的は様々ですが、最も重要視する点が、保障内容です。

保障内容が悪いと、目的に合った保障が得られないだけでなく、突発的な事態が起こってもリスクに対応できないなど、会社経営に悪影響を及ぼすこともあるのです。

このことから、会社にとってどのような保障が必要なのかを考えたうえで、よく比較・検討し、保障内容の良い保険を選ぶことをおすすめします。

損金計上がどれだけできるか

損金は、会社の必要経費のことです。

法人保険の支払い金額も、損金として計上できるため、節税効果が期待できます。

企業にとって、法人税の負担を減らすという意味で、損金計上は欠かせないものです。

法人保険の保険料は決して安いものではありません。そこで、支払った保険料のうち、どれだけ損金計上できるかも重要なポイントです。

ちなみにですが、保険料の全額を損金計上したい場合、以下2パターンの保険を選ぶことをおすすめします。

  1. 解約返戻率が50%以下の保険
  2. 解約返戻率が50%から70%以下の保険で、年間の保険料が30万円以下の保険

返戻率とピーク時の確認

返戻率とは、解約返戻金がどのくらいになるかを表す割合のことをいいます。

返戻率には以下の2パターンがあります。

  1. 単純返戻率
    • 単純に支払った保険料が解約返戻金としてどのくらいの割合で戻ってくるのかをいいます。
  2. 実質返戻率
    • 単純返戻率に加え、損金算入により、税負担が軽くなった分も含んだ返戻率をいいます。

保険の解約返戻金は、一定期間経過するとピークを迎えますが、しばらくするとまた下がり始めます。

解約返戻金を資金計画の一つとして考える場合は、ピークの時期に合うよう、計画を立てる必要があります。

このため、ピークが来る時期と、どのくらい続くのかをしっかり確認する必要があると同時に、どのくらい戻るのかという、返戻率にも気をつけることが重要です。

法人保険を比較する際の注意点

法人保険を比較する際、目的を明確にすることと、保険を比較する際のコツについてご説明してきました。

ここでは、注意しておいた方が良い点について、2つ解説します。

保険料の支払いや解約に柔軟に対応できるようにする

法人保険は、会社経営の「万が一の突発的な事象」に備えることができ、福利厚生や退職金準備などにも活用できる、心強い味方です。

その保険が、突発的な出来事などで、一番活用したいときに使えない、ということのないよう、準備しながら加入することが大切です。

また、保険料の支払いに関しても、年払いにし、自動引き落としではなく、振り込みでの入金にしておくことをおすすめします。

もしも取引先が倒産して入金されなくなった場合に、社員の給与や下請け企業への支払いが滞ってしまうことも考えられます。保険料を自動引き落としにしていると、引き落としを止められないこともあるのです。

このため、手間はかかりますが、臨機応変に対応できるように、保険料は、できれば振り込みでの支払いにしましょう。

法人保険のスペシャリストに相談して契約する

法人保険を比較・検討したい場合は、法人保険のスペシャリストに相談することをおすすめします。

例えば家電量販店で、パソコンなどのOA機器を買うのに、冷蔵庫などの白物家電の担当者に相談する人はいないと思いますが、法人保険についても、同様のことがいえます。

保険への加入時から解約・満期までの法人税の取り扱いや経理処理、契約期間中に保険が払えなくなった場合の対応方法やルールなど、一般の個人保険と法人保険では、必要な知識や情報に違いがあります。

このため、法人保険特有の知識のある営業担当に相談しながら加入しましょう。

法人保険比較に便利な窓口やツール

スペシャリストに相談することが大切な法人保険ですが、保険の相談窓口にも色々な種類があり、どこを選べば良いのか、判断に迷うところではないでしょうか。

ここでは、保険相談窓口やサイト・アプリを比較しながら、解説します。

保険代理店

保険代理店の特徴は以下の4つです。

  1. 複数の保険会社の商品を取り揃えているため品揃えが多く、複数の保険を比較できる
  2. 保険料は保険会社と変わらない
  3. 法人保険専門の担当者がいる代理店では、保険の組み合わせや見直しなどの相談や、アドバイスなどのサービスが受けられる
  4. 保険の手続きや請求など、窓口を1本化できる

保険会社

保険会社の特徴は以下の3つです。

  1. 取り扱うのは自社商品のみのため、商品の選択肢が限られる
  2. 法人保険専門の担当者がいる店舗もある
  3. 保険の手続きや請求などの窓口が別々になる場合がある

法人保険情報サイト・アプリ

保険情報サイトやアプリの特徴は以下の3つです。

  1. スマホやパソコンなどで商品を気軽に比較できる
  2. 人気の保険やランキングをみることができ、サイトによっては保険診断などの機能もある
  3. 込み入った相談やアドバイスを受けるには、代理店など窓口の利用がおすすめ

まとめ

ここまで、法人保険の比較・検討の方法やコツ、注意点などを解説してきました。

法人保険は、会社のリスクに備えるだけでなく、色々な目的に活用することができます。

自社の事業計画や予想されるリスクを考え、目的に沿って比較・検討すれば、保険はその力を最大限に発揮するのです。

今回ご紹介した方法を参考に比較・検討し、自社にとって最適な保険を選びましょう。

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